海外に住む事は特別な事だと思っていませんか?
一般的に、何らかの卓越したスキルや学歴、語学力、またはお金を持っている人しか海外に住むことは難しいと思われているようです。
しかし、やってみると実際はそうではありません。
きちんと滞在のルールを把握して、計画的に手順を踏んでいけば、誰にでも実現可能です。

この記事では、実際に僕が住んでいるマレーシアの事例を交えながら、海外滞在の基本ルールであるビザについて詳しく解説していきます。

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ビザとは何か?長期滞在にはビザが必須!


ビザとは、簡単に言うと期限が記載された滞在許可証のこと。
日本語では査証とも言われます。
その国のイミグレーション(入国管理局)が発行します。
これは自国に滞在する外国人を当地の政府が管理するために行われます。
もしこの制度が無い場合、簡単に言うと「自分の国に知らない人が勝手に入っている状態」になってしまうわけです。
なので、各国のイミグレーションにて発行されるビザには以下の情報が記載されています。

  • 顔写真を含む、個人情報
  • 何のために滞在するのか(例:学生ビザ、就労ビザなど)
  • いつからいつまで滞在できるのか

そうしてパスポートに貼られたビザが、その国での身分証明になるわけです。

しかし、皆さんも海外旅行に行った際、「パスポートは発行したけどわざわざビザなんて発行して貰わなかった」なんて人も多いと思います。
それもそのはず、多くの先進国民の場合、短期であればビザなし入国可能な国も多いのですが、こういったビザ無し入国の方が例外扱いなのです。

日本人は海外に行きやすい!日本に居ると気付かない日本人のメリット

現在、若い人達にとって日本という国は「問題の多い政策」「老人優遇」「安賃金」「劣悪な労働環境」「自殺率が高い」「うつ病になりやすい」「貧富の差が激しい」「通勤ラッシュが苦痛」など、ネガティブなイメージが多いかもしれません。
勿論僕も、日本のブラック企業で働くのは嫌です。
しかし、元来日本という国家は世界からの信用が非常に高い国家。
その証拠に、イギリスのヘンリー&パートナーズが毎年行っている「ノービザで渡航できる国数」の調査では、日本が1位(191カ国/2021年1月)となっています。

観光程度ならビザを取得せずに入国できるということは「日本人ならば自国内で悪さをしにくいだろう」という信頼の証。
これは日本人及び日本という国家に対する信用の上に成り立っています。
日本円という比較的安定した通貨を持つことや、国民性、今までの外交の功績(災害時の義援金など)もその一旦。
折角日本に生まれたならば移住とまでは言わずとも、積極的に海外旅行に行き、日本国パスポートのメリットを存分に享受する人生もいいのではないでしょうか?

ここから本題!長期滞在ビザの種類について


長期滞在用のビザには色々な種類があります。
以下を参考に、自分が発行できる可能性のあるビザを調べてみましょう。
ビザは申請→審査→発行→入国という流れになるので、入国までには余裕を持ってスケジュールを立てましょう。
審査に時間がかかる場合もあります。

1.就労ビザ

海外在住の日本人の中で、最も一般的なパターンは就労ビザによる長期滞在でしょう。
マレーシアの場合は「Employment Pass」という名前になっており、月額給与RM10,000以上の高所得者向けのカテゴリーⅠから、給与RM3,000~4,999程度のカテゴリーⅢまで3段階に分かれています。
そのうち日本人が発行を受けられるのはカテゴリーⅠとⅡのみ。
1年から5年の期限が定められており、期間が切れても雇用が継続する場合は更新となります。

また、就労ビザの中にも専門職ビザという特定のスキルや実績を持った人にのみ発行されるビザがあり、例えばアメリカでは「H-1Bビザ」、マレーシアでは「Professional Visit Pass」などと呼ばれ区別されます。
その技能の業種で働くことが条件となり、職種や経歴によっては通常の就労ビザよりも発行されやすいのがポイント。
ITなど需要の高い特定の職種に対して、政府が自国に人員が欲しいと認めた場合に制定されることが多いようです。

2.学生ビザ

大学、語学学校の場合がこれにあたります。
しかしマレーシアの場合、90日以内の勉学の場合はビザが免除され、ノービザでの入国で大丈夫。
それ以上滞在する場合は一度隣のタイやシンガポールに入国し、数日後に戻ってくる通称「ビザラン」という方法も。
その場合、年間滞在可能日数の180日を超えないように注意が必要です。

大学入学や語学学校への長期留学の場合、ノービザでは難しくなります。
その場合は「Student Pass」という学生ビザを取得しましょう。
認められる期間は最長1年ですが、現地で更新が出来るので卒業までの間は1年毎に更新を繰り返すという形になります。
18~35歳と年齢制限はあるものの、大学の修士号や博士号などの履修の場合は免除される場合もあります。
アルバイトは週20時間以内に限って可能ですが、国によっては働けない場合もあるので下調べが必要です。

また、大学生がマレーシアでインターンシップをするために入国したい場合、「SVP-Ⅰ」というビザも使えます。
条件は学部生であることと、インターンが大学のカリキュラムの一部であること。
期限は最長90日までとなります。

3.投資家ビザ(投資家向けプログラムを含む)

マレーシアに投資家ビザはありませんが、お金を積むことで永住権を申請できるという富豪向けのプログラムがあります。
アメリカの「EB-5」という類似したビザで説明しましょう。
EB-5プロジェクトに登録されている案件の中から投資先を選択し、900,000 USD以上の投資をすることによりグリーンカードの交付を受けられます。
さらに健康であり、犯罪歴が無い事などが条件となります。
実は若い人であっても、永住権(実質の投資家ビザ)を取得するよりMM2Hの方が楽な事から、マレーシアではそちらを選択してグレーな滞在方法をとっている方も多いようです。

4.リタイアメントビザ

マレーシアには「MM2H」と呼ばれるビザがあります。
これはMalaysia My 2nd Homeの略で、基本的なターゲットは50代以上のリタイアした世代となっています。
タイの「ノンイミグラントOビザ」やインドネシアの「E-Retierment Visa」も条件が類似しているので、住みたい国で決めましょう。
簡単に言うと、リタイア層は働かないので自国の雇用枠を奪わない上、お金を持っているのでサービスにお金を使ってもらいたいという、新興国政府の思惑の上に成り立っているビザです。
新興国は物価が安いので、リタイア層にとってはお金を節約しつつ受けられるサービスは先進国に居るよりも良くなることから、俗に言うwin winの関係が築けていると言えるでしょう。
マレーシアの「MM2H」の場合、金銭的な要求が厳しくなるものの条件を満たせば若くとも取得が可能です。

5.経営者ビザ

経営者として会社役員などが取得するビザですが、残念ながらマレーシアにはありません。
現地法人として会社を設立したとしても、1社員として就労ビザを習得する必要があります。
投資家ビザと統合され「投資経営ビザ」としている国もあります。

6.配偶者ビザ

例えば就労ビザで入国する方が居たとして、単身赴任ではなく家族を連れてくる場合、配偶者は「Dependent Pass」というビザを取るのが一般的です。

7.永住権


アメリカの「グリーンカード」が最も有名な永住権ですね。
ほとんどのビザは数年で更新しなければならないのですが、永住権やリタイアメントビザは10年単位での更新が可能。
更に永住権の場合は就労も可能となり、帰化(その国の国籍を取る)以外では最も自由に活動できるビザと言ってよいでしょう。
アメリカには「DV抽選プログラム」という完全ランダムの宝くじのようなシステムがあったり、カナダやオーストラリアでは、年齢、学歴、就労/滞在年数、IELTSやTOEFLのスコアによりポイントが入り、一定値を超える事で申請できるというポイント制をとったりしています。
また、現地民との結婚による取得も可能なようです。

8.観光ビザ

基本的に日本人は観光ビザを取得するケースは稀でしょう。
前述の通り、海外旅行でもビザが不要な場合が多いです。
例えば、中東の国の国民がどこかに旅行する際、テロリズムなどの国際情勢により必要と判断される場合があります。
ただ、よく忘れられがちなのがアメリカに旅行する場合。
ノービザ入国は可能ですが観光ビザの代わりのような「ESTA」というシステムがあったりします。
なので、ノービザでの観光の場合も事前に情報を調べる事をおすすめします。

番外編:違法滞在

海外に住む一つの方法として、違法滞在があります。
しかし、僕個人の意見としては違法滞在はオススメできません。
最悪の場合、二度とその国を訪れる事が出来なくなってしまいます。

違法滞在の方法としては、「偽装」と「潜伏」の二つ。
偽装の一番簡単な方法は、ビザを発行するだけの架空の学校や会社に依頼すること。
一応正式にイミグレーションから出ているビザなので、警察に声をかけられても堂々と見せる事が出来ます・・・が、実態を調査されたら捕まります。
また潜伏する場合、何らかのビザ(ノービザを含む)で入国した後、期限が過ぎても隠れて生活し続けることもできます。
こちらも警察に声をかけられたら捕まりますが、中には死ぬまで捕まらないツワモノも。
非常にハイリスクですので、絶対にやめましょう。

まずは自分が適応となるビザを探すべし


いかがだったでしょうか。
色々と条件が難しく感じるかもしれませんが、簡単に言えば「その国の許可を貰う」というだけのこと。
日本人は他国民と比較して、どこの国でもビザは取得しやすい傾向にあります。
日本で働くのに疲れてしまった方は、これを機に海外進出を前向きに考えてみてはいかがでしょうか。
マレーシアに限らず、色々な国について調べてみて下さいね!

この記事のおさらい

長期滞在にはその国のイミグレーションから発行される”ビザ”が必須です
ビザには色々な種類がある!意外に取得が簡単なものも
まずは行きたい国のビザ要件を調べよう!