いざ筋トレを始めると、あまり筋肥大しない事に驚くと思います。
それでも我慢して3カ月程度続けてようやく効果が表れ始めると、嬉しさと同時に一つの疑問が浮かんできます。
そもそもなぜ、筋肉は大きくなるの?
成長や栄養の偏り、病気によって変形してしまう部位は多々あれど、故意に形を変形させていける身体の部位ってあまりないと思いませんか?
それもピアスやスカリフィケーションに代表されるように、物理的な破壊なくして、です。
改めて考えると、元々動物の身体に備わっている機能って謎が多いですよね。
そこで今回は、筋肉を成長させる機能として知られる「超回復」というワードに着目しながら解説していきます。
目次
超回復とは?生物の自己再生能力は意外とすごい!
筋トレのやり方をネットで調べると、まず目にするのが超回復理論。
これは簡単に言うと、まず筋トレによって負荷をかけて現在持っている筋繊維を破壊し、その後身体の自己再生機能により治癒すると同時に今までよりも太く再生するという理論です。
これは骨折から治癒する過程と理屈が似ています。
骨の治り方は?
骨折した際、骨の中の血管が切れて出血し、折れた部分に血の塊(血腫)ができます。
その状態でギプス等を使い、また壊れないよう損傷部位を固定します。
次第に間葉系幹細胞という細胞が集まり、それが軟骨細胞や骨芽細胞に成長して仮骨という柔らかい骨になります。
仮骨は次第に骨になりますが、その際に再度破壊されないよう今までよりも若干太く再生します。(部位にもよるようですが)
つまりこれと同じようなことが筋肉に起こっている、という考え方を「超回復」と呼びます。
筋肉に負荷を与え筋繊維を破壊し、それにより起こる炎症こそが「筋肉痛」、更にそれが治る事でより太く成長するという理屈です。
一般的にトレーニング後48~72時間の間に超回復が起こり、その時間は動かず休息することで回復の効果をより高めます。
この間にタンパク質を多く摂取することで効率よく筋肉を肥大させる事ができる、とされています。
ただし・・・
待った、これが正解とは言っていない!
しかし、その理論の根拠は・・・
前項で述べた超回復理論は一つの俗説であり、科学的に証明されているものではないのです。
スポーツ科学の研究論文にもそのような項目はありません。
ここで、一つの矛盾が生まれます。
加圧トレーニングという言葉をご存知ですか?
外部から圧力をかけて血流を制限し、低酸素状態にさせることで意図的に成長ホルモンやアナボリックホルモン、アドレナリンの分泌を促し筋肉を成長させる新しいトレーニング方法です。
これにより低負荷、低回数での筋肥大が可能になりました。
勿論筋肉本体の損傷は一般的なトレーニングに比べて遥かに軽微だそうです。
(管理人は試したことがないのですが・・・)
つまり、超回復理論が正しいとすると加圧トレーニングで効果が出ている事実と矛盾してしまうのです。
最近は否定派が多くなっている
更なる反論もあります。
実際には、スポーツの世界では48~72時間のサイクルを無視してトレーニングをするケースが多くあります。
超回復理論が正しいとすると、超回復が始まる前にまた筋繊維を痛めつけてしまう場合、再生しかけていた筋肉が分断され筋肥大が先延ばしされることになります。
しかし、それでも筋トレの効果は出ているのです。
理屈としては非常に説得力があり一見真実のように見える超回復理論ですが、このようなさまざまな根拠から否定されつつあるのが現状です・・・。
でも、理屈が間違っていても方法に間違いはない!
これまでいくつかの否定的な見解を述べましたが、僕自身は超回復理論を完全な”誤り”とは見ていません。
今まで数々のトレーナーが超回復理論によるトレーニングを実践し、成功を収めてきました。
これは、超回復という現象があるかどうかはさておき、筋肉に刺激を与えることにより筋肥大は起きることの証明です。
言うまでもない事ですが、多少の効率の良し悪しはあれど、筋トレはやれば効果が出ます。
やるかやらないかの差が一番大きいのです。
最近サボり気味の自分への戒めも兼ねて、文字を大きくしておこう・・・。
まぁ結論は、超回復理論は正解とは言い難いですが、信じてやってみてもいいのではないでしょうか!
試行錯誤もまた、筋トレの醍醐味であります。
筋肉痛が無くても効果はある
ここで一つ、嬉しい情報。
筋肉痛が無くても、筋肉は成長します。
どういうことかというと、筋肉は刺激に慣れる生き物なのです。(生き物?)
負荷を増やして数を減らしたり、その逆を試したり、時には違うフォームを試したりして、筋肉が飽きないように刺激を与えましょう。
その過程で、筋肉痛が起こらない、いわゆる”停滞しているように思える時期”もあると思います。
ですが、刺激を与えれば多かれ少なかれ筋肥大は起こります。
筋肉痛は筋肉を追い込めた目安であって、筋肥大が起こるかどうかの指標ではない、と言えるでしょう。
それではまた次回お会いしましょう!