海外に住むには様々な方法があります。
現地で働く、学生として入国、定年退職後に移住など、方法は人それぞれ。
しかし、どのような方法でも自国に住むのと比べ、活動に多少の制限がかかります。
そこで今回は、まるで自国に居るかのごとく自由に生活できる夢のビザ、永住権(PR)の取得方法と、日本人が取得しやすい国を紹介します。

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永住権とは?

外国人が滞在するためにはビザ(査証)が必要です。
身分を証明し、他国での活動を可能にするのがビザの役割ですが、その中でもとりわけ永住権は取得も難しく、特別とされています。

例えば、就労ビザは会社に、学生ビザは学校に紐づいているので、国内での活動はそれぞれ就労、勉学といったビザの意図する活動に限定されます。
学生ビザで入国する場合、アルバイトですら就労が禁止、ないし月あたりの時間が制限されていたりします。

しかし、何らかの方法で永住権を取得した場合、参政権などのいくつかの部分を除き、自国にいるのとほぼ変わらない生活がおくれるようになるのです。

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永住権の代表的な取得方法と実施国の例

ハードルは高いとはいえ、永住権を取得するチャンスは誰にでもあります。
日本は国際的に信頼性の高い国なので、日本国籍の人間は世界的に見れば他国の永住権の取得はしやすい部類に入ると言えるでしょう。

しかし、しばしば問題となるのは語学力の部分です。
特別なポジション(著名な芸術家、タレント、資本家など)でない限り、行きたい国の語学を勉強することは前提となります。
他にも学歴、業種などのステータスが関わってきます。

以下より代表的な永住権の取得方法、及び日本人の永住権取得が現実的な国を厳選しました。
現実的に可能な方法2つと、運に左右される方法1つ、計3つの永住権取得方法を順にご紹介します。

努力によって実現可能:ポイント制の申請プログラム


一人で永住権を目指すなら、ポイント制の公募永住権申請プログラムを利用する方法があります。
その国の基準により、学歴、語学のスコア、職種、職歴など、その人の色々な部分がポイント化されます。
そのポイントが一定数を上回るとインビテーションレターが発行され、大使館等で永住権取得ができるといったパターンが多いようです。

基準を上回るように自分の学歴やキャリアを組み立てたり、その国にとって需要のある職種に就くなど、移住を目指した具体的な行動が必要になります。
どこの国でも国益のため、20~30代の若い世代が高得点となっている場合が多いので、若い人にオススメな方法です。

とはいえ、特に需要の高い職種の経験を持っている方は、年齢や英語力がそこまで影響しないプログラムがあったりもするので、行きたい国の制度をよく確認して自分にとって最適なルートで申請を出すと良いでしょう。
移民への道筋が全く分からない場合、経験豊富なコンサルタントや移民弁護士に相談するのが近道かもしれません。

この方法がオススメな人

  • 専門的なスキル/経歴を持っている
  • 年齢が若い
  • 永住権取得予定国の学校を卒業している/する予定
代表的な実施国

  • イギリス
  • カナダ
  • オーストラリア
  • ニュージーランド
  • アルゼンチン

※アメリカも公募を行ってはいるものの、現在は移民の受け入れをかなり縮小しているので現実的ではありません。

最強の永住権取得方法:結婚


あらゆる方法で永住権取得が不可能な国であっても、唯一狙えるのが結婚による永住権取得です。
移民を厳しく制限している国であっても、何故か結婚だけは認められている場合が多いです。
パートナーさえいれば学歴、語学力、職業などあらゆるステータスに左右されずに簡単に永住権を獲得できる素晴らしい方法ですが、いくつかのデメリットもあります。

デメリットとしてよく言われるのは、永住権取得後すぐに婚姻関係を解消した場合、永住権が剥奪される場合があること。
離婚の可能性がある場合はオススメできません。
また、永住権の為の偽装結婚は罰せられます。
最近では結婚による永住権取得制度を悪用した不法移民が多くなっているので、どの国も警戒を強めています。

それ以外のデメリットで特に注意したいのが、国教がイスラム教の場合です。
男女共に、ムスリムへと改宗しなければならないという制約が設けられているので、生活の自由は少し減ります。
また、女性の場合は永住権ではなく自動的に夫の国籍を取得する国(サウジアラビア、イランなど)もあるようです。
日本では二重国籍が認められていないため、必然的に日本国籍を喪失する可能性があります。
そのため、イスラム圏の男性と結婚する日本人女性はデメリットを把握し、特に気を付けなければなりません。

この方法がオススメな人

  • 外国人のパートナーがいる/外国人が好き
  • 異文化に抵抗が無く、適応力がある
  • 日本国籍を失っても構わない女性
代表的な実施国

  • 日本からの渡航が認められているほぼ全ての国

運で勝ち取る:抽選プログラム


何かと厳しい条件を課せられる永住権ですが、運が良ければ手に入るのをご存知ですか?
しかも、そんな抽選を行っている国は、今一番移民に厳しいと言ってもいい”アメリカ”です。
DV抽選プログラムという制度により、毎年秋ごろに抽選が始まり、応募の中から一定数の人がグリーンカードを得ることが出来ます。

なぜ移民を拒むアメリカにこのような制度があるのかというと、その理由はアメリカ建国の歴史にあります。
元々移民大国のアメリカは、様々な人種の中で飛びぬけた才能を持つ人間をかき集め、成り上がった国。
ある程度の割合でランダムに移民を取り入れることで、アメリカの多様性を保持するという国の方針が根底にあるのです。
ちなみに、DV抽選プログラムのDはダイバーシティ(多様性)の意。

ポイント制の公募でアメリカ永住を狙おうとすると、学費がトータル数千万円もするアメリカの大学を卒業し、アメリカという国にとって需要のある職業(IT系が多い)に就くといった様々なハードルを越える必要があります。
しかも、移民に厳しい現在のアメリカでは、念入りに準備したとしても永住に届かないことも。
そんな厳しい国に運が良ければ行けるなんて、なんとも夢があって面白いとは思いませんか?

とはいえ、抽選なのでこのプログラムを主軸に人生設計することは出来ませんね。

この方法がオススメな人

  • 学歴が高卒以上の人
  • 出生地が日本の人(日本国籍であっても、例えば韓国で産まれた場合は参加権無し)
  • 毎年定期的に応募し、当たったらいつでも動けるフレキシブルな人
代表的な実施国

  • アメリカ

永住権に近い形の滞在方法

永住権以外に、永住権に近い形での滞在が可能な国もあります。
以下にそのパターンを2つほど紹介します。

リタイアメントビザ


国によっては、リタイアした人向けにビザを発給しています。
当然ながら物価の安い国に行けば、日本で過ごすよりも豪華な生活になります。

これは外国人に自国内で消費してもらい、経済を活性化することが目的。
なので、自国民の雇用機会を減らさないよう、リタイアメントビザは就労不可であることが多いです。
つまり、既にまとまったお金を持っている人向けとなります。

日本人の一般的な貯蓄額を持つ年配の方ならば、どこの国でも比較的簡単にリタイアメントビザを取得することが出来ます。
しかし、若い人向けにはかなり制限が厳しくなっており、相当なお金持ちでない限りは取得することは難しいでしょう。

この方法がオススメな人

  • 定年退職した人
  • 年齢が若い場合は、莫大な資産を持っている人
代表的な実施国

  • タイ
  • マレーシア 2021年8月、申請基準が上がってほぼ不可能になりました
  • インドネシア
  • イタリア
  • マルタ

ビザなしで半年以上滞在可能な国も


何処の国も外国人の入国が厳しくなってきている昨今ですが、意外にもビザなしで長期滞在が可能な国が存在します。
こちらも就労不可な場合が多いので、渡航後の生活費を用意済、または国外に収入減がある人向けです。

以下、ビザなしで半年以上滞在可能な国を列挙します。

  1. 1年滞在可能なジョージア
  2. 6ヶ月滞在可能なカナダ、オーストリア、イギリス、ドミニカ国
  3. 180日滞在可能なメキシコ、パナマ、アルメニア、ペルー(ペルーは183日)

特に注目されているのが、なんとビザなしで1年も滞在可能なジョージア。
バックパッカーやノマドワーカーにも大人気です。
コロナ前までは、1年間滞在した後、隣国などに出国しまた戻る、俗に言う「ビザラン」によって簡単に2年の滞在許可が出ていました。
※現在はリモートワークビザの導入により、若干風向きが変わりつつあるそう。

これらのビザ事情は変わりやすいので、行きたい国を見つけたら必ず大使館のWEBサイトなどで要項を確認しましょう。

この記事のおさらい

永住権を取得すれば、自国にいるのとほぼ変わらない生活がおくれる
代表的な申請方法はポイント制のプログラム、結婚、抽選など
永住権とは別の方法で長期滞在することもできるが、やはり色々と制限がある