マレーシアで仕事が始まってからというもの、本当に色々な事がありました。
いや、業務内容は特に問題ないのですが…

そうです。
今世界中を騒がせているあの憎きウイルス。

おのれ、Covid-19!!

特に2020年3月から今にかけて、2019年の留学時代とは比べ物にならないほど生活のあらゆる部分で制限を受けることとなりました。
こればっかりは仕方ありません。
感染を広げないための施策として、政府の考えにも賛同です。
今回の記事は、海外でパンデミックに遭ってしまった人の記録です。
仕事柄、お国の情報に触れる事が多いので間違ってないと思いますが、もし情報が間違ってたらご指摘を頂けると助かります。

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マレーシアでのコロナウイルス感染のはじまり

年末の1次帰国を終えてマレーシアに戻り、無事2020年1月から勤務開始となりました。
一度シンガポールに行ったりして、この頃はまだ普通だと思っていました。
しかし、徐々にコロナウイルスの影響が現れ始めます。

シンガポールではホテルに入る際、体温チェックがありました。
追跡システムでのスキャンと体温チェックが必須となった今だからこそ、「シンガポールは無駄に厳重だな~」などと思っていた当時の自分はアホですね。
こんなに早い段階で予防策を張るとは、やはりシンガポール政府は賢明です。

実はマレーシアでは、1月25日にジョホール・バル(シンガポールとの国境沿いの町)にて初の陽性者が見つかっていたんです。
発端は中国からの旅行客3人組。
マレーシアへはシンガポールから入国したそう。
ここから広がったのか、2月4日にはマレーシア人初の感染者が見つかります。

深刻なパンデミック発生!原因は宗教行事!?

さて、クアラルンプールに帰ってきていつも通りの日常を過ごしていた僕。
この頃はニュースのせいかコロナウイルスを警戒する人が多く、薬局のマスクは常に売り切れ。
しかし、クアラルンプールに感染者が出たというニュースは無かったのでどこか他人事でした。
そして2月に入るやいなや、またとんでもないニュースが舞い込んできました。

スリペタリンモスクの宗教行事
スリペタリンモスクの宗教行事

ご存知の通り、マレーシアの国教はイスラム教。
2月27日にはSri petalingにあるモスク(イスラム教の礼拝堂)で、世界各国から1万人以上の信者が集まる大きな宗教行事が行われました。
このイベントの参加者の約半数は外国人だったそうで、この頃はソーシャルディスタンスの概念もありません。
感染者数は一気に拡大し、数百人単位でのパンデミックが起こってしまったのです…。

今となっては常識ですが、感染力の高いコロナウイルスは一度増えると倍々に増えていきます。
その頃、1日の感染者数が237人というのは異例のことでした。
今考えると少ないのですが、政府はこれを危惧し、とんでもない施策を発表したのです。(当時の感覚では)

2020年3月に始まった第一回目のロックダウン、その名も「MCO」

3月、欧米の状況から、噂では「マレーシアもロックダウンになるかも!」との情報がまことしやかに囁かれていました。
ロックダウンという言葉は去年聞いた方も居るかもしれませんが、日本では結局施行されませんでしたね。
インフラや食事関係などの主要サービス以外、ほぼすべての会社は出勤禁止、無論遊びに行くのも禁止です。

しかし中国や欧米と比較すると全然マシだったマレーシア。
そうは言っても大丈夫だろうと高を括り、普通にオフィスに出勤する生活が続いていたある日のこと。
3月17日、いつものようにオフィスへ行くと、一人の同僚からこんな事を言われました。
「18日から外出禁止になるとの発表があった。今のうちに早く食品を買っておいた方が良い。」

政府発表の様子
政府発表の様子 – マレーシア国営放送局RTMより引用

発表されたルールはMovement Control Order(行動制限令)略してMCO!
正式には16日に発表があったようですが、僕の耳に入ったのは17日。
発表から2日後に施行って、なんて素早い対応!
日本政府ではありえない対応のフレキシブルさに感動すると同時に、「もうちょい余裕あってもいいよな」という不満も感じました。
マレーシアでは水道水が飲めないので、まずは水の確保と思い、オフィスの下のショッピングモール内にあるスーパーで水を買おうと思ったのですが…

水があんまりない!!

イメージです。
※写真は9月のもの

やはり起きていた爆買い騒動。
日本でも震災の後にありましたよね。
災害の少ないマレーシアで、こんな緊急事態は多くのマレーシア人にとって人生初だろうと思います。
故に、食べ物や水を必要以上に買い占めてしまう人が続出。
僕はというもの、行ったのが遅かったのもありあまり食材を買えませんでした。

まぁ、よく考えればスーパーやレストランは基本的に閉まらないので、あまり焦らなくても大丈夫なんですけどね。
そんな感じでなんとなくMCOに突入しました。

延長を繰り返す「MCO」と突然の「CMCO」発表。

最初は3月18日から2週間限定で始まったMCOですが、その後感染者数は減らず何度も延長。
その間はジムは閉まるわ、遊びに行けないわで、非常に退屈な日々を過ごしていました。
家でトレーニングしなきゃと思い、自重トレーニングのアプリを入れてなんとかやり過ごす日々。
通販で買ったダンベルも購入者殺到で届かず、なんと届いたのはMCOが終了した後!
そうです、ここで次のフェーズに移ることとなります。

5月7日、Conditional Movement Control Order(条件付き行動制限令)の略となるCMCOが施行。
MCOと比べ、一応行動できる条件の範囲が広がります。
約7週間続いたMCOも終わり、ほっとしたのも束の間。

ジムは引き続き閉鎖!!

いやー、キツいっすね。
まぁ僕ばかり文句を言ってられないのがコロナウイルス。
ストレスはあるものの、みんなで頑張って乗り越えようというムードでした。

ちなみにMCOがCMCOになった背景には、マレーシア経済の悪化もあるようです。
たった2カ月で消費は落ち込み、国内経済に大打撃。
政府はこれより、第一回目のMCOを黒歴史と認定したそうな。

6月をピークに感染者数が激減!新たなフェーズ「RMCO」へ

6月7日の新規感染者277人をピークに、1回目のパンデミックは収束へと向かいます。
なんと6月半ばから8月にかけては感染者数がとても低く抑えられており、政府の施策は大成功。
遂には新規感染者数が1人となった日もあるほど。
コロナウイルス撲滅への期待が広がります。

そして、厳しかったCMCOも6月15日から新たなフェーズに切り替わります。
その名も「RMCO」。
Recovery Movement Control Orderの略で、日本語だと「回復のための活動制限令」と訳すみたいです。
制限もかなり緩くなり、ジム、映画館、カラオケとエンターテインメント施設が順番に再開していきます。
言葉通り、感染者数は増えず快適な日々を送っていました。

9月までは。

第二のパンデミック発生!今度の原因は議会選挙

最初の戦いでは経済への打撃など、マレーシアもダメージを受けながらギリギリ勝利したといった印象でした。
しかし残念なことに、この頃になると気の緩みが出始めます。
海外からの帰国者は自主隔離者としてピンクのリストバンドを付けられるのですが、隔離規定を守らなかった人々などが続出。
そして次のパンデミックの決定打となったのは、サバ州議会選挙の実施
投票した一般の人々だけでなく政界にまで感染が広がり、まだまだコロナ禍は続きます。

外国人労働者のクラスター感染が頻発


感染が再拡大する中、外国人労働者の扱いが注目されてきます。
マレーシアでは、外国人労働者に安く働いてもらうという労働文化が根付いています。
例えばレストランのウェイターはミャンマー人が多かったり、工事なんかをしてる土方の人はバングラディシュ人が多かったり。
マレーシア人よりも給料が低いので、単純労働ではかなり活用されてます。
しかし、彼らの住居は大人数の雑魚寝部屋といったところ。
そんな環境では、一人に感染すれば全員に感染します。

1UtamaというKL有数の巨大ショッピングモールのスタッフ内だったり、医療用手袋生産で世界最大手、有名マレーシア企業のトップ・グローブの工場でクラスターが発生したり。
奇しくもコロナウイルスによって、外国人労働者へ扱いと依存度の高さが浮き彫りになってしまいました。

医療用手袋の世界最大手メーカーでコロナ集団感染、28工場が閉鎖へ

年末は感染が拡大している状況に逆戻り!感染者数が数千人単位に…

2020年10月から12月にかけて、感染者数は右肩上がり。
10月には200、300と増えていき、しまいには800台に。
11月には1,000人台と4桁の大台に乗ります。
着々と増え続け、12月には2,000人を超える事態となり、結局2020年の1日当たり最大感染者数は大晦日の2,525人。
大晦日にニコニコ(2525)出来ない皮肉な1年となってしまいました…。
あれ、オヤジギャグを言うような歳では…

ついに迎えた2021年。ついに再び「MCO」が施行されるが…?

一進一退を繰り返し、1,000~2,000人を行ったり来たりする1月前半。
政府はついに二度目のMCOを宣言。
1月13日から始まったこのMCOは、後にMCO2.0と呼ばれる事となります。

しかし、始まってみると拍子抜け。
1度目のMCOどころか、CMCOよりも規制が緩いかも…?
こんなんで感染を抑える事が出来るのか疑問に思いながら過ごす毎日。
結果として、1月30日の5,728人をピークに減少し、2月には1,000人台となったことで再びCMCOがやってきます。

質素な旧正月とラマダンを迎えたマレーシア

マレーシア人を構成する民族は3つ。
6割程度のマレー系、3割程度の中華系、1割程度のインド系。
マレー系は政治、中華系やインド系はビジネスに強く、それぞれが独自の文化を持っています。
年末年始もその一つ。
西洋歴ではなく、それぞれの文化に一つ一つお祝いの日があるんです。

旧正月には紅包(Ang bao)と呼ばれるお年玉のようなシステムも

マレー系ならハリラヤ(2021年5月13日)
中華系なら旧正月(2021年2月1日)
インド系ならディパバリ(2021年11月4日)
※毎年変わります。

勿論平時なら沢山買い物して豪勢に祝うのですが、コロナ禍ということもありみんな旧正月は質素に過ごしていました。
SOPも厳しく、マレーシアで一番経済が動くと言われている旧正月に全員が大人しかったので、経済への打撃も大きかったと推測されます。
しかしこれもすべてはコロナ禍収束のため。

ただし、5月のハリラヤでは想定以上に感染が広がってしまったのか、そこを起点にまたもパンデミックが起こってしまったのです。

ラマダンやハリラヤで定番のドライデーツ

感染者数が爆増、一気に9,000人台に。そして三度目のMCOが発令。

今までの流れで今度はマレーシア全土に感染が拡大。
破竹の勢いで感染拡大していくさまは、これまでにない恐ろしさを感じます。
5月30日には過去最多となる9,020人を記録。
1日でこんなに増えるのは、去年と比べるととんでもない差です。
最近は一日7,000人程度で前後しているようで、これを書いている現在もMCO3.0の真っ最中だったりします。

このように、少しずつ拡大していき、今やインドに続いて東南アジアで感染が酷い国No.2という不名誉な称号を手に入れてしまったマレーシア。
日本のニュースでも報道され、友達から心配の連絡が入ったりしています。
日本政府が強制隔離を実施するとかしないとか、一時帰国は今後どんどん厳しい状況になっていきそうです。
ワクチンをいつ打てるかが気になりますが、今やることはただ一つ。
誰とも会わず、家でひたすら筋トレしながら待つこと。

まぁ引き続き、引きこもりながら元気に生きていきます。

この記事のおさらい

マレーシアは今三度目の危機を迎えている!
コロナウイルスのおかげで見えた、マレーシア社会の歪みもある
こんな状況でも、生活を続けられてるのは幸運だなぁと感じる