海外移住というのは、その人の人生を変えてしまう大きな決断。
ひとたび外国に行ってしまえば、日本にいた頃とは生活様式がガラッと変わり、最初のうちはその変化が楽しく感じられるかもしれません。
しかし、慣れてきた頃に色々なことに気付きます。
日本と比べて優れているところもあれば、当然ながら不便な事もあります。
この記事では、マレーシアに移住して3年目の僕が、今だからこそ伝えられるマレーシア移住の利点・欠点を紹介
マレーシア移住を考えている方の参考になれば幸いです。

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良かった事第5位:コミュニケーションが取りやすい

マレーシアは多民族国家ということもあり、母語は人によって様々。
まず、マレーシア国民はマレー系、中華系、インド系、原住民に分類されます。
公用語はマレー語なのですが、マレー語のネイティブはマレー系と呼ばれる人達だけ。

中華系は地域により中国語の方言を話すことが多く、例えばクアラルンプールやイポーなら広東語話者が主流、ペナンやジョホールなら福建語が多いです。
また、普通話や客家語、海南語を話す人も居ます。

インド系はヒンドゥー語ではなく、タミル語が主流。
ヒンドゥー語が母語の人も、少数ですが存在します。

このように、英語を第一言語とする人は実は少ないです。
そのため、母語ではない英語の聞き取りというスキルが卓越しており、下手な発音や変な文法でもちゃんと理解してもらえることが多いです。
英語を苦手とする人が多い日本人にとっては、かなり参入しやすい国なんじゃないかと思います。

ちなみに余談ですが、親の教育方針により第一言語が英語になった人も結構居ます。
その場合、逆に自分のルーツの言語が不得意になることが多く、あまり歓迎されてない印象です。
特に多いのが、中華系なのに中国語が苦手な人。
外が黄色(中国人)で中身が白い(白人)という意味で、”BANANA”なんて蔑称が付けられちゃったりしてます。

インド系はなぜかマレー語が上手い人が多いですね。
おそらくインド系の学校が少ない為、マレー語が公用語である政府系学校に通うパターンが多いからでしょうか。
中華系が中国語(またはその方言)が得意なのは、中華系学校の豊富さ故でもあるかもしれません。

良かった事第4位:食べ物のバリエーションが豊富

前項の通り、マレーシアは多民族国家です。
大きく分けて、マジョリティのマレー系が約6割、中華系移民の華僑が3割程度、インド系移民が1割程度から構成されています。
もっと細かく言えば様々な原住民が生活していますが、彼らはあまり我々の生活には関わってきません。

マレー系の料理はマレーシア料理だけでなく、インドネシア料理に似たものもあります。
中華系料理はマレーシアで発達した独特の中華系料理もあれば、中国本土料理もあります。
更に、中国本土の料理は地域により味も様々。
インド系料理もマレーシアで独自に発達したものもありますが、中華系と比べてインド料理の色を濃く残している印象です。
勿論、本場のインド料理のお店もあります。

マレー料理 Ikan patin tempoyak

また、マレー系はイスラム教、中華系は仏教(またはキリスト教)、インド系はヒンドゥー教(または仏教)と、それぞれ信仰も違います。
そのため、宗教上の理由から食べられないものもあり、それは人によって様々。
例えばイスラム教のマレー系と、仏教の中華系が結婚する場合、国教であるイスラム教が優先され、改宗することになります。
そこで、マレー系料理と中華系料理が混ざりつつも、ムスリムが食べられる食材のみで構成されたニョニャ料理がうまれました。
このように、人種間での交流による文化が融合したユニークな料理があることもマレーシアの魅力の一つ。

マレーシアだけでもこれだけのバリエーションがありますが、歴史上関係の深いイギリスやポルトガルの料理を扱うお店も豊富です。
また、近年マレーシアへ来る人口の多い日本や韓国、軽食文化が流行っている台湾の料理なども多く存在します。
イスラム教の国なので中東からの留学生も多く、日本では絶対に食べられないようなマニアックな中東料理もあります。

これらの理由から、マレーシア(特にクアラルンプール)では食べられないものはほとんどないと言えます。
日本の食べ物は、値段は高くなりますが99%手に入ります。
強いて言えば、洋食がちょっと弱いかな?という印象です。

日本のビワを不思議そうに眺める人

良かった事第3位:暮らしやすい天候

日本には四季があって綺麗……なんて悠長なことを言うのは、元来身体が強くアレルギーを持たない人です。
四季のデメリットとして、季節の変わり目は体調を崩しやすくなる点があげられます。
また、梅雨や台風の時期も必ず毎年訪れ、外出を億劫にします。
更に1月から9月ごろまで、長期に亘って様々な種類の花粉が宙を舞います。
夏はジメジメ、冬は乾燥で唇が切れる。
マレーシアではそんな苦労とは無縁の生活が待っています。

年中暑いと思われがちですが、日本の夏と比べると湿度も低く、平均気温も32℃前後なのでそこまで暑いわけではありません。
また、スコールは降りますが30分~1時間程度で必ず止みます。
ゆったりとした文化なので、雨が降ったらショッピングモールやレストランに入って休憩し、止むまで待つのが一般的。
特に傘を持つ必要もありません。

ただ、一つ欠点をあげるならばヘイズの存在。
これはインドネシアから風に乗ってやってくる、焼き畑農業で生み出された大気汚染のこと。
たまに発生するので、空が灰色になった日にはマスクを付けましょう。
と言ってもそんなに多くはないです。

天候は東マレーシアと西マレーシアでかなり違うので、以上についてはKL付近のレビューということでご容赦下さい。

良かった事第2位:物価と給料のバランスが良い

物価は安いが給料も安い台湾、給料は同程度だが家賃の高いタイ、給料も生活費も高いシンガポール。
色々な国がありますが、マレーシアは物価が安い割には給料が良いというのがメリット。
日本国籍の場合、最低賃金はRM5,000、スキルや経験のある人ならば日本と同程度の収入が狙えるので、日本人にとっては非常に良いバランスでまとまっています。

たまに五つ星ホテルに泊まってリフレッシュしてみたり、日常的にエステやマッサージに行くこともできます。
日本で1回飲み会する程度のお金を払えば、高級コース料理を出してくれる店なんかもあります。

ただし、これはあくまでも先進国出身者の基準。
あまり安い安い言っていると、マレーシア人からはあまりよく思われないので注意が必要です。
現地相場へのリスペクトを欠かさずに

良かった事第1位:日本特有の苦しい労働文化が無い

今のところ、僕は今後日本で働く気はありません。
元々フリーランスやスタートアップ企業などで働いていたので、所謂日本的な会社で働いた経験は少ないのですが、一度だけブラック企業で働いたことがあります。
期間は短かったのですが、日本の労働環境に疑問を感じるには十分でした。
フリーランス時代の取引先などを見てもストレス過多だと分かりますし、海外では日本は自殺者が多いことで有名です。

その点、マレーシアでは無意味な労働文化が少ないです。
よく言えばリラックスしているとでも言いましょうか、時間や期限を守らない人もよくいます。
そういう人が一定数入ることによって、日系企業でもなんとなくマレーシアっぽい雰囲気になっていることもあります。
日本の常識に慣れてしまった人にとっては、逆にイライラしてしまうかもしれません。

しかし、生きるために仕事をしていたはずなのに、仕事の為にストレスで命を削るなんて馬鹿馬鹿しいと思いませんか?
マレーシアは、ちょっと人生に疲れちゃった人にもオススメですよ。

悪かった事第5位:交通面での危険性

交通面において、利便性は高いです。
なぜなら、GrabやMycarなどの配車アプリでどこでもタクシーを呼び出せるから。
日本なら電車で行くような距離でも、安価でタクシーを使う事が出来ます。
鉄道網はあまり発達していないので、電車だけでは行けない場所も多くありますが、開発は進んでいるようです。
2021年8月現在、そろそろケポン方面からプトラジャヤをつなぐ新線が開通する予定。

しかし、どうしても交通事故の危険性はあります。
日本と比べ運転マナーが悪い人が多く、車を縫って飛び出してくるバイクも後を絶ちません。
道端で血を流して倒れているライダーを見たこともあります。
Grabに乗っても、運転手によっては稀に明らかに危険な速度で走ることも。
日本より事故率は確実に高いので、ヒヤっとした体験は何度かあります。

これは運なので防ぎようがないところですね。
僕は自分の車を買ったので、注意しながら運転することにします。
とはいえ、それでも貰い事故の可能性は消えませんが……。

悪かった事第4位:対人リテラシーが低い人が一定数いる

友達の話でもよく聞くことですが、対人関係の距離感がおかしい人が一定数居ます
僕も2回、全く興味のない女性から告白され、断ったにも関わらずしつこく迷惑行為をしてくるという被害に遭いました。
何度もかなりキツめに断っているのに、無理だと察してくれないんです。
セクハラまがいの事を言われたりすることもありました。

ただ、僕は男なので実害はそれほどでもないんですが、日本人女性は特に気を付けたほうがいいです。
軽い迷惑行為だけでなく、ストーカーやセクハラのターゲットなどにもされやすいです。
日本でもストーカー被害はたまに聞きますが、周りを見る限りでは明らかにその率が高いように感じます。

やはり我々は外国人になるので、ちょっと特別な感じに見られてしまうのでしょう。
優しい人は濁してしまいがちですが、嫌な時は毅然として断ることが大事です。それでも分かってもらえないこともあるのですが……。
興味無い人に、下手にやさしくするのは最悪です。
なんとなく嫌がっているのを察して去ってくれるのなんて日本人くらいです。
本当に気を付けましょう。

悪かった事第3位:サービスの質が安定しない

これは日本人のマレーシア移住者が必ず言うこと。
僕は接客態度云々については言うつもりはありません。
むしろ日本のマニュアル接客よりも、対応が暖かい時も多くあります。

ここで言うサービスの質とは、例えばレストランに行って同じ料理を注文しても毎回若干違った味で出てくるとか、全く同じ商品を買ってるのに店によって値段が天と地ほども違うとか。
特に麺類なんかは、茹で時間も適当なので作り手によって硬すぎたり柔らかすぎたりする場合も。
大衆食堂では、自分でお皿に好きな具材を盛ってカウンターに持っていき、なんとなく言い値で値段を決められたりすることもあります。
重さで測るとかではなく、見た目で適当に判断される店も多いです。
やけに高くなる店もあったり、逆に常連になると大盛なのに激安になったりもします。
まぁ、ここまでは愛嬌みたいなものです。

本当に酷いのは、程度の低いお店だと、外国人と分かると少し高めの値段をふっかけてきたり、詐欺まがいの商売が横行していること。
コロナ禍により失業者が増えたり、景気が悪くなったことで売り上げを確保するためにそういった悪手を打ってしまうお店が多くなったように感じます。
しかも、日本人は気付かずにお金を多く払っている事も多いです。

お土産屋などの旅行者相手の商売では、昔からこういった事例は多くありました。
旅行中、ちょっと怪しい店に立ち寄ってなんとなく騙されてみるのも楽しみの一つです。
しかし、一期一会の旅行者ではなく、現地で生活している人々相手の商売(食料品店や雑貨店など)の場合はどうなるでしょうか。
日本人なら日本人コミュニティに属している人も多いですし、噂が出回るのも早いです。
詐欺に気付いた人はそういったサービスを二度と利用しなくなるので、結果として自分のビジネスの首を絞めていると言えるでしょう。

売上が欲しすぎてそんな短絡的な考えに至るほど、景気が悪くなってしまった証拠でしょうか……。
あ、もちろんこれらは一例で、きちんと正当な商売をしてるお店が大半ですよ。

悪かった事第2位:アジアの悪い文化が残っている

日本よりマシとはいえ、職場環境が悪い会社も一定数存在します。
よく聞くのは中華系マレーシア人の会社や、中国資本の会社。
名前は出しませんが日系企業や韓国企業も結構酷いところもあるみたいですね。
マレーシアは南国っぽい文化を持ちながらも、やはり東アジアの文化が色濃く残っていると感じる部分は多いです。
ルックイースト政策という、日本の文化を取り入れる政策も実施していたようですし、韓国芸能も最近流行っています。
東アジアへのリスペクトを感じる部分もありつつも、残念ながら欠点も一緒に取り入れてしまったのではないかなと思います。

東南アジアや欧米の企業で働く場合はこの限りではありませんし、何度も言いますが日中韓の企業でも働きやすさは会社により様々です。
もし就労ビザでの渡航を考えている場合、会社選びが非常に重要です。

また、東南アジア特有の賄賂文化も残っています。
年々クリーンになりつつありますが、完全に解決したとは言えません。

悪かった事第1位:永住権が取りづらい

個人的に一番残念な事、それは永住権の取りづらさ
今、世界的に色々な国で永住権は取りづらくなっています。
しかし、就労期間や語学力、職業などの基準を満たせば結婚せずとも永住権が取れる国も数多くあります。

マレーシアでは、マレーシア人との結婚以外で永住権を取ることはほぼ不可能とされています。
また、国民の6割を占めるマレー系はムスリムなので、結婚すると強制的にイスラム教に改宗させられるのも考え物です。

なので、長く住む予定の人は、MM2Hなどの長期滞在可能なビザを取るのが現実的
MM2Hというビザは10年更新で、一定額の財産をマレーシアの銀行に預けておくことで取得できます。
残念ながら僕はお金がないので無理ですね。

それでも僕はやっぱりマレーシアが好き

利点や欠点を色々書きましたが、やっぱりなんだかんだ言ってマレーシアは住みやすいと思います。
ランキングには入れませんでしたが、日系のサービス多く存在することも大きなメリットの一つ。
すき屋やはなまるうどんなどの飲食チェーンだけでなく、DaisoやDon Don Donki(ドンキホーテの海外店舗)などのお店もあります。
セブンイレブンは海外仕様ですが、ファミリーマートは日本準拠なのでマレーシア生活に慣れていない方にとっても非常に使いやすいです。
伊勢丹やそごうなどの日系ショッピングセンターもあり、現在建設中のららぽーともオープン間近!
このように、日系サービスの利便性もタイやシンガポールに近づいています。

総合すると非常にオススメの国なので、コロナ禍が落ち着いたら是非足を運んでみて下さい。

この記事のおさらい

日本では考えられないほど生活の質が上がる
しかし不便な点もいくつかあり、気を付ける部分も多い
特に日本人にとっては生活しやすい部類の国であると言える